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マンションの査定方法である「取引事例比較法」をわかりやすく解説!

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マンションの査定方法である「取引事例比較法」をわかりやすく解説!

不動産を売るとき、今の価値がいくらぐらいなのか知るために、不動産会社に査定してもらわなければなりません。

ここでは、マンションを査定する際に用いる「取引事例比較法」についてわかりやすく説明します。

具体的にわかるのは、次のようなことです。

【この記事で具体的にわかること】

  • 取引事例比較法とはどのような査定方法なのか
  • マンションの具体的な査定方法について

マンションの売却を考えており、どのように査定されるかを知りたい場合は、ぜひ一読して参考にしてください。

この記事はこんな人におすすめ!
マンションの売却を考えている人
マンションの査定方法を知りたい人

1.取引事例比較法とは

取引事例比較法とは、売却する不動産と条件が近い不動産の過去の成約事例を参考に査定価格を出す方法です

まず、同じマンションでの成約事例など、似たような物件の過去の取引価格から平均(㎡)単価を割り出し、その単価に査定したいマンションの面積を乗じます。

その金額をベースに、間取り・方角・現状・角部屋などの要因や経済状況を考慮して、査定額を出します。

ただし、不動産買取のように相場より大幅に価格が下回る成約価格については、事情補正(じじょうほせい)といってその事例は参考値に選びません。

買取について詳しくは「【不動産買取】お家をすぐに売ることができる方法をかんたん解説!」で説明していますので、ぜひ読んでみてください。

例えば、過去に売れた成約事例が

  • 専有面積76.11㎡
  • 成約価格3,600万円

であるとすると、3,600万円÷76.11㎡で1㎡あたり47.3万円になります。

査定マンション 事例マンション
72.94㎡ 面積 76.11㎡
成約価格 3,600万円
1㎡あたりの価格 1㎡あたり47.3万円
3,450万円 査定価格

査定マンションが72.94㎡とすると、72.94㎡×47.3万円で、査定価格は3,450万円になります。

このような取引事例(成約事例)比較法は、マンションや土地の査定方法として一般的に利用されます。また、家の中を見なくてもおよその相場価格がわかるため、このような査定方法を机上査定といいます。

過去に売れた価格である成約事例については、不動産会社だけが利用できるレインズで調べることができます。レインズに掲載している成約事例については、不動産会社であればどの不動産会社でも見ることができます。

レインズについては、「レインズとはなにか分かりやすくまとめた」で詳しく説明しているので、せひ一読してみてください。

取引事例比較法を使った査定価格は、どの不動産会社が査定してもだいたい同じ価格が出てくるということになります。これが、いわゆる相場価格と呼ばれるものです。

MEMO

投資用(収益)マンションの場合

投資用(収益)マンションの場合は、その不動産が将来どれぐらい稼ぎ出せるのか、収益力に基づいて不動産の価格を求める収益還元法で査定価格を出します。その物件の収益力が高ければ査定価格も高くなり、収益力が低ければ査定価格も安くなります。自分が住むための物件である居住用不動産には、稼ぐ力が求められませんので、この方法はアパートや賃貸マンションなど投資用不動産(収益物件)の査定方法として多く利用されます。

詳しくは「収益還元法とは?投資用不動産(収益物件)の査定方法についてまとめた」をご覧ください。

また、マンションは階数が高いほど高くなり、1階部分が一番安くなります。また、リフォームするかどうかでも大きく価格が変わってきます。

リフォームとして費用が高いのは、キッチンやお風呂の交換、LDKのフローリングの貼替えであり、ハウスクリーニング等は安くすみます。

マンションの査定方法はそれほど難しくなく、この方法で相場価格がわかります。

あとは、同じマンション内において、現在売り出し中の物件がある場合は必ず比較されること、「まだ売れていない=その価格では売れない」ということから参考になります。

自分の家がいくらなのか、相場価格が知りたい方は、イクラ不動産価格シミュレーターを使えば無料&匿名で知ることができます。気軽に利用してみてください。

法律によって「査定価格には根拠が必要」とされているため、査定書をつくるときには客観的情報を詳しく載せます。次の章で、もう少し具体的にみてみましょう。

発展編は必要ないという人は「マンションを査定するときの注意点についてまとめた」をご覧ください。

2.【発展編】マンションの査定方法

不動産会社に査定を依頼すると「査定書」がもらえます。査定書は「マンション価格査定マニュアル」に沿って作成されています。

マンション価格査定マニュアルとは、1980(昭和55)年の宅地建物取引業法改正により、媒介契約の制度がはじまったと同時につくられたものです。

媒介契約について詳しくは「【媒介契約とは?】3つのうちどれを選ぶべきなのか解説!」で説明していますので、ぜひ読んでみてください。

不動産会社(宅地建物取引業者)が、売主に査定価格を述べるときには、その根拠を明らかにしなければならないことが宅地建物取引業法により義務付けられました

宅地建物取引業者は、前項第2号(当該宅地または建物を売買すべき価額またはその評価額)の価額、または評価額について意見を述べるときは、その根拠を明らかにしなければならない。

宅地建物取引業法第34条の2第2項

この根拠を明らかにする方法の一つとして、建設省(現:国土交通省)委託調査による価格査定マニュアルが発表され、これを実現化したものが不動産流通推進センターの策定した価格査定マニュアルです。

ここから価格査定マニュアルについて説明します。(価格査定マニュアルを利用していない不動産会社もあります。)

マンション価格査定マニュアルは、不動産市場に出回っている新築以外のマンション、いわゆる中古マンションを対象とし、その査定価格を出すために利用されています。

対象となる中古マンションは居住用ファミリータイプマンションで、居住用以外のマンションや定期借地権マンション、投資用マンション(ワンルームなど)、店舗ビルや事務所ビルの一部に併設された居住用マンションは対象としていません。

MEMO

定期借地権マンションを査定の対象としない理由

借地権マンションとは、建物(マンション)は自分の所有(区分所有)ですが、土地は自分のものではなく地主に借りているマンションのことです。借りているので地主に対して地代を支払います。定期借地権とは、期間が決まっている借地の権利ということになります。例えば、定期借地権70年であれば、70年経てばマンションを取り壊し、更地の状態で地主に返還しなければなりません。

定期借地権マンションは、次の理由から査定の対象としていません。

  • そもそも定期借地権マンションの数が少なく、成約事例が少ない
  • 定期借地権マンションは取引事例比較法による査定が慣習化していない
  • 借りている土地に対する権利金や保証金がマンションごとの事情により異なり、定期借地権マンション同士での比較の場合でもコンサルタント的な分析を要するため

もし、同じ定期借地権マンション内で成約事例がある場合には、そちらを利用します。

マンション価格査定マニュアルでは、次の手順で査定価格を出します。

  1. 実際に売買されたマンション(成約事例)を選びます
  2. 査定を行うマンションと事例マンションの各条件について判定、評価を行い、結果は評点(評価得点)で表されます
  3. 2つのマンションの評点の比較の結果と事例マンションの成約価格をもとに、査定を行うマンションの査定価格を出します

◯◯万円で成約した事例のマンションは、判定・評価の結果、評点は△△点、これを査定を行うマンションと比較すると、査定マンションの評点は◎◎点なので、査定価格は☆☆万円という計算になるという考え方です。

取引事例比較法(マンション)3

不動産流通推進センター価格査定マニュアルより引用)

査定に最低限必要な項目は次の通りです。

項目 内容
年月日(査定/成約) 査定マンションの査定年月日
事例マンションの成約年月日
所在地 査定マンション・事例マンションの所在地
築年月 査定マンション・事例マンションの築年月
専有面積 査定マンション・事例マンションの専有面積㎡数
価格(成約) 事例マンションの成約価格

(マンション査定条件記入用紙はこちらから)

2-1.①事例マンションの選び方

できる限り複数の事例を比較した上で、選定した1件の成約した事例のマンションと比較して査定価格を出すため、選んだ取引事例によって査定結果は変化します。選んだ事例が適切であれば、精度が高く信頼できる査定価格となります。

売却するマンションと、できるだけ条件が近いマンションを選ぶと良いので、まずは同じマンションの成約事例がないかを探します。もし、同じマンション内に成約事例がなければ、近隣でよく似たような(同種)のマンションの成約事例を選びます。

同じマンション内の成約事例で、次の①〜③の条件が全てそろう場合は、その事例を採用します。

買い進み、売り急ぎ(買取など)などの事情がなく通常の条件のもとに取引された事例
取引時点が過去1年以内の事例(成約日が査定時点から1年以内)
専有部分等(専有面積・所在階・間取り)の状況が類似しているマンション
・【専有面積】:査定住戸と事例住戸の差が30㎡未満
・【所在階】:査定住戸と事例住戸の差が10階未満
・【間取り】:査定住戸と事例住戸が同一タイプ(LDK)
④査定マンションと事例マンションの最寄り駅が同じ(駅からの方向は関係なし)
⑤査定マンションと事例マンションの価格水準が同じような地域内にある
⑥査定マンションと事例マンションの総戸数が似ている(差が50戸未満)
⑦査定マンションと事例マンションの建物地上階が似ている(差が10階未満)
⑧査定マンションと事例マンションの築年数の差が±3年以内

同じマンション内の成約事例で上記①〜③の条件がそろわない場合は、①〜⑧を踏まえて近隣・同種のマンションの成約事例を採用します。

ただし、上記の選定条件は、可能な限り①〜③の条件に基いて事例を選択することを推奨したものであるため、わずかに条件が外れていて、他に適切な事例が選べない場合は、査定する不動産会社の判断によりその事例を選んでも良いとされています。

また、上記②と③の一方または双方がそろっていない場合で、同じマンションと近隣・同種のマンションと比べてどちらを採用するかは、査定する不動産会社が判断するものとされています。

近隣・同種のマンションを事例として選ぶ場合、次の事項は禁止されています。

①新築分譲マンションとの比較
②徒歩圏マンションとバス圏マンションとの比較
③エレベータ付きマンションとエレベータなしマンションとの比較
④グレード(ネームバリュー)が異なるマンション同士の比較

これらは、比較するにあたって物件の前提条件が合っていないため、事例マンションとしては選べません。

2-2.②査定を行うマンションと事例マンションの各条件についての判定と評価

次の各条件について判定、評価を行います。

  • 交通・立地条件
  • 周辺環境
  • 住戸の位置
  • 専有部分の状況
  • 維持管理状況
  • 敷地・共用部分の状況

2-2-1.交通・立地条件について

査定マンション・事例マンションの両方について、「交通の便」「立地条件」の項目を選び評点を求めます。

交通の便についてはこちらを見て選びます。

・徒歩圏/バス圏を選択する
・徒歩圏の場合、徒歩の分数
・バス圏の場合、バスの分数
・バス圏の場合、バス停までの徒歩の分数
・バス圏の場合、バスの運行便数

立地条件についてはこちらを見て選びます

・マンション周辺の環境
・店舗への距離
・公共施設への利便性

2-2-2.住戸位置について

査定マンション・事例マンションの両方について、「住戸位置」「開口部の方位」「日照・通風」の項目を選び評点を求めます。

住戸位置についてはこちらを見て選びます。

・エレベータの有無
・所在階
・最上階の住戸かどうか

開口部(窓がある部分)の方位についてはこちらを見て選びます。

・建物の向き
・リビング(主要採光面)のバルコニー方位
・他の部屋の開口部

日照・通風は良いか悪いかを選びます。

2-2-3.専有部分について

専有部分はお部屋の中のことです。バルコニーは含まれません。査定マンション・事例マンションの両方について、こちらの項目を選び評点を求めます。

・室内の維持管理状況:内装の仕様やリフォーム、維持管理状況など
・柱・梁・天井の状況:リビングの天井高や柱、梁の状況
・住戸のゆとり:リビングやバルコニーの広さ、収納スペースが確保されているか
・専用庭またはテラスがあるかどうか
・外からの騒音・振動:窓を閉めた室内での周囲からの騒音、振動の強弱
・眺望・景観:専有部分からの眺望や景観
・バリアフリー対応状況:高齢者、障がい者への配慮の有無

2-2-4.維持管理状況について

査定マンション・事例マンションの両方について、こちらの項目を選び評点を求めます。

・適切な修繕計画があるかどうか
・修繕積立金(月額)の負担金額
・管理費(月額)の負担金額
・共用部分の保守清掃の状況
・管理員の勤務形態(24時間管理・日勤・巡回など)
・管理受託形態:管理会社への委託形態(全部委託管理・一部委託管理・自主管理など)

2-2-5.敷地・共用部分について

査定マンション・事例マンションの両方について、こちらの項目を選び評点を求めます。

・土地の権利:マンション敷地の権利(所有権・地上権・賃借権など)
・建物の外観やエントランス:マンションの外観やエントランスにおける壁、床、天井の仕上げ
・耐震性
・省エネルギー性能
・セキュリティ設備:オートロックなど
・インターネット対応状況

2-3.③査定を行うマンションの査定価格を出す

これまでの情報をマンション価格査定マニュアルのシステムに入力すると、査定価格結果が出ます。(不動産流通推進センター価格査定マニュアルをご参照ください。)

最後に流通性比率によって査定価格を調整します。

流通性比率とは、マンション査定価格に対して「その物件が売れやすいか売りにくいか」という市場流通性(売りたい人に対して買いたい人の数が多い場合は売れやすいため流通性は高い)の度合いをいいます。流通性比率を判断して、必要に応じた調整を行います。

対象となる調整項目と調整比率は以下の通りです。1.00(100%)を基準とし、マイナス15%からプラス10%の範囲内で、売れやすければプラス、売りにくければマイナスとして評価します。

①価格(1.10〜0.85)
・査定価格が市場における売れ筋物件の価格帯を大きく逸脱していないか

②物件の需給状況(1.10〜0.85)
・地域における物件量が極端に多い、またはめったに物件が出ない地域か

③地域の特性(1.03〜0.97)
・地域的に知名度が高く売り物が出るとすぐに売れる地域か、逆に安くても敬遠される地域か

④その他(1.05〜0.95)
・上記以外に、特に加点・減点を考慮すべき市場性の要素がある(例:駐車スペースの有無など)
・居住者に不快感・不安感を与えるような施設の影響の有無

(査定価格◯◯万円 × 流動性比率) = 調整後の査定価格◯◯万円

これで査定書は完成です。

このような客観的情報から査定書は作成されています。

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※こちらの記事は、価格査定マニュアルに関して(公財)不動産流通推進センターの掲載許可を受けています。価格査定マニュアルは、無断使用(複製、改ざん、頒布などを含む。)を固く禁じられております。

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