相場価格とは、過去の成約価格から予測される、今の不動産取引価格のことです。 売出し価格や査定価格とは違うことに注意しなければなりません。
こちらでは、相場価格を自分で簡単に調べる方法についてわかりやすく説明します。
- 不動産相場価格とは、どのようなものなのか
- 相場価格は、査定価格や売出価格と何が違うのか
- 相場価格を自分で調べるには、どうすれば良いのか
- この記事はこんな人におすすめ!
- 家やマンションなどの売却を検討していて、いくらで売れそうかを知りたい人
- 自分で不動産の相場価格を調べる方法を知りたい人
- 簡単に素早く相場価格を調べたい人
もくじ
1.相場価格とは?
相場価格とは、過去の成約価格から予測される、現在の不動産取引価格のことです。
家を売却する際、どれくらいの価格で売れるのかを調べようと売却中の家やマンションなどを検索してみると、相場価格っぽいものが掲載されているサイトがたくさん見つかります。
しかし、ほとんどのサイトで掲載されている価格は、実際に売れた成約価格ではなく「売出価格」です。
この売出価格は、相場価格とは異なります。売却したい家と同じような物件の売出価格が3,000万円であっても、相場価格も3,000万円だと捉えてはいけません。
相場価格と売出価格を混同しないことが大切です。
2.相場価格と査定価格や売出し価格とは何が違うのか?
まず、家を売却するうえで必ず知っておかなければならない相場価格・査定価格・売出価格・成約価格のそれぞれの意味と違いについて説明します。
相場価格(そうばかかく):過去実際に売れた成約価格から判断して、現時点で市場に出したら売れると考えられる価格
査定価格(さていかかく):売りに出したら3ヵ月程度で売れると想定した額。不動産会社が売主の様子を見ながら提案することも多い
売出価格(うりだしかかく):売却をスタートした時点の販売価格
販売価格(はんばいかかく):現在販売中の不動産の価格。売出価格から値下げした額であることも多い
成約価格(せいやくかかく):実際に売れた金額
「相場価格」とは「今、家を売った場合の価格」のことです。
ただし、実際に売れる金額がわかるわけではありません。なぜなら、不動産は世界にたった一つしかない商品のため、似たような物件であっても、同じ金額で売れるかどうか、確実にはわからないからです。
そこで、過去に実際に売れた金額である「成約価格」が必要になります。
売買が成立した「成約価格」は、現時点におけるその地域の不動産の需要と供給が一致する価格=相場価格を計算するうえでの根拠となるからです。
たとえば、過去に売れたマンションが専有面積76.11㎡、成約価格3,600万円だと、3,600万円÷76.11㎡で1㎡あたり47.3万円になります。
査定マンション | 事例マンション | |
72.94㎡ | 面積 | 76.11㎡ |
ー | 成約価格 | 3,600万円 |
ー | 1㎡あたりの価格 | 1㎡あたり47.3万円 |
3,450万円 | 査定価格 | ー |
査定するマンションが72.94㎡とすると、単純に72.94㎡×47.3万円で、相場価格は3,450万円ということになります。
ただし、査定価格はこの3,450万円を基準にして、売主の様子を見ながら決めることも多いのであまりあてになりません。
なぜ、上記のような「査定価格の高値釣り」が起こるのかについては、「不動産会社にとって購入より売却のお客様の方が重要なのはなぜ?」で詳しく説明していますので、ぜひ読んでみてください。
また、「売出価格」とは、売却をスタートした時点での価格です。「売出価格=まだ成約できていない」つまり「その価格では売れない価格」と見ることもできるため、決して「売出価格=相場価格」ではないはずです。
それでは、なぜ多くのサイトは「売出価格」を掲載しているのでしょうか。
これは、高い金額で売却できるように見せかけて、売却するように誘導しているからにほかなりません。
では次に、売出価格と成約価格にどれぐらいの差があるのかをみてみましょう。
3.売出価格と成約価格にはどれぐらいの差があるのか?
こちらは東京カンテイが2017年に公表した「中古マンションの売出・取引事例に基づく価格乖離率」のデータを元にして、売出価格と成約価格にどれぐらいの差があるのか、わかりやすく図式したものです。
売れた成約価格がいずれも3,000万円と仮定した場合、売出価格が高ければ高いほど、売却するのに期間がかかり、かつ値下げしなければならなくなることを指し示しています。
重要な点は、「いつまでに手元にお金が必要なのか」を明確にし、売却期間が決まっている場合は、相場からかけ離れた売出価格を設定すべきではないということになります。
このような場合、期間内に売るために、相場価格からいくらぐらい上乗せして売り出せばよいのか、上記のデータを利用すると次のようになります。
売却にかかる期間 | 相場価格×倍率 | 売出価格をいくらにすべきか |
1ヵ月 | 1.03倍 | 3ヵ月以内に売りたい場合は、相場価格の1割高い価格に設定 |
2ヵ月 | 1.05倍 | |
3ヵ月 | 1.07倍 | |
4ヵ月 | 1.09倍 | 相場価格の1割〜1.5割 |
5ヵ月 | 1.11倍 | |
6ヵ月 | 1.13倍 | 相場価格の1.5割以上高い価格で売り出すと、売れるまでに半年以上かかることを考えておく |
7ヵ月 | 1.15倍 | |
8ヵ月 | 1.16倍 | |
9ヶ月 | 1.18倍 | |
10ヵ月 | 1.18倍 | |
11ヵ月 | 1.20倍 | |
12ヵ月 | 1.17倍 |
つまり、3ヵ月以内に売りたいのであれば、売出価格は、相場価格の1.1倍(+10%)ぐらいの金額に設定すべきです。
逆に、相場価格の1.15倍(+15%)以上で売り出すと、売れるまでに半年以上かかることを覚悟しておく方が良いでしょう。
4.相場価格を自分で調べる方法は?
先にも述べたように、相場価格を知るためには、次の2点を調べる必要があります。
- 近隣の似ている家の過去の成約価格を調べる
- 近隣の似ている家が、今、いくらで売りに出ているかを調べる
それぞれの調べ方を説明します。
4-1.近隣の似ている家の過去の成約価格を調べる
まず、自宅と近隣の似ている家が、過去いくらで売れたのか成約価格を調べましょう。
マンションの場合は、同じマンション内、土地・一戸建ての場合は、同じ町域内で過去5年以内に売れた価格を参考にします。
自分でインターネットを使って調べるには、次の3つの方法がおすすめです。
4-1-1.イクラ不動産を利用する
(イクラ不動産)
イクラ不動産では、不動産会社が過去実際に売却した物件(マンション・一戸建て・土地)の価格を掲載しています。
地域別にどのような物件が、いつ(何年何月)、いくら(成約価格)で売れたのをひと目で確認することができ、まさに近隣物件の相場価格を知ることが可能です。
また、イクラ独自の価格シミュレーターを利用すれば、簡単に自分で相場価格を調べることができます。さらに、自分で調べるのがむずかしい場合は、専門スタッフに相場価格を調べてもらえるので安心です。
4-1-2.レインズマーケットインフォメーションで調べる
レインズとは、不動産会社しか利用できない「過去にいくらで売れたのか成約価格がわかる」サイトです。
レインズを使えるのは不動産会社だけなので、一般の消費者も相場や適正価格を知ることができるように「RMI(レインズ・マーケット・インフォメーション)」を作成して、一部の売買成約情報を公開しています。
しかし、レインズ・マーケット・インフォメーションでは、物件所在地の詳細はわかりません。
4-1-3.土地総合情報システムで調べる
国土交通省が公開している「土地総合情報システム」は、不動産取引を実際に行った人を対象にしたアンケート結果をデータベース化したサイトで、直近1年間の売買情報が検索できます。
所在地別に、㎡(坪)単価や価格、面積、間取りなどの情報が一覧表示されます。
4-2.近隣にある似ている家の売出価格を調べる
売出し中の物件は「まだ売れていない=その価格では売れない」ということです。そのため、あくまでも相場価格の目安とします。
また、自分のお家を売るうえでのライバル物件となるため、必ずチェックが必要です。
SUUMOやLIFULL HOME’S、athomeなど購入者向けの物件検索サイトを使えば、現在売り出し中の不動産と価格がわかります。
マンションの場合は「マンション名」を、一戸建てや土地の場合は「町名+戸建(土地)」とGoogleで検索しましょう。購入者向けのサイトが出てくるはずです。
自分のお家に条件の近い物件がいくらで売り出されているか確認して売出価格の参考にしましょう。
ただし、先にも述べたように、一般的に売出し価格は相場価格の1.1〜1.2倍に設定されていることが多いです。そちらを踏まえたうえで、相場価格の参考にしてください。
まとめ
この記事のポイントをまとめました。
- 相場価格とは、過去実際に売れた成約価格から判断して、現時点で市場に出したら売れると考えられる価格のこと
- 不動産の価格には、相場価格・査定価格・売出価格・成約価格の4種類がある
- 相場価格は、査定価格や売出価格とは違うので、必ずしも査定額や売出価格で売れるわけではないことを理解しておく
- 相場価格を自分で調べる方法は、次の2つ
・近隣の似ている家の過去の成約価格を調べる
・近隣の似ている家が今、いくらで売りに出ているかを調べる - 売出し価格は高めに設定されているので、相場価格を調べる場合は1〜2割程度、差し引く
- 売出してから3ヵ月以内に売りたいのであれば、売出価格は相場価格の1.1倍程度に設定する
家やマンションを売ることになり、いざ相場価格を調べると、
とガッカリされる方は少なくありません。
中古品を売買できるフリマアプリのメルカリをご存知であればわかりやすいのですが、メルカリは売れた価格を調べて、今出ている価格をみて、出し値を決めて、それで売れなければ、値段を下げていきます。
この作業は不動産も全く同じです。
相場価格を調べて、今販売中のライバル物件の価格をみて、出し値を決めて、それで売れなければ、価格を下げていきます。
違いは「値付けをプロ(不動産会社)に相談しながら自分で決める」ことです。
この「実際に売れた価格」が「相場価格」となり、目安として相場価格より1割以上高い売出価格を設定すると、3ヵ月以内に売れる確率がぐっと減ってしまいます。
不動産会社は、マンションや土地について過去の成約価格をもとに査定価格を出しています。あなたが家を売るとき、最初におよそいくらぐらいなのか相場価格が知りたいのであれば、売出価格ではなく、成約価格での数字を参考にするようにしてください。
この「価格」をいくらに設定するかと「不動産会社」選びが、不動産売却において重要になってきます。
家やマンションを売却するにあって「相場価格が知りたい」という人は、まず「イクラ不動産」でご相談ください。
不動産会社に行かなくても、無料&秘密厳守で自宅で簡単に素早く不動産(マンション・一戸建て・土地)の相場価格がわかります。
さらに、わからないことがあれば、宅建士の資格を持ったイクラの専門スッタフにいつでも相談できるので、安心して売却を進めることができます。
イクラ不動産については、「イクラ不動産とは」でくわしく説明していますので、ぜひ読んでみてください。
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