不動産査定書の証明効力は、誰がどのように査定をして作成したかによって異なります。
証明効力にこだわらなければ、無料で不動産査定書を入手することも可能です。
ここでは、不動産査定書とはどのようなものなのか、また、無料で入手するにはどうすれば良いかなどをくわしく説明します。
- この記事はこんな人におすすめ!
- 離婚や相続で不動産の価値を証明するために査定書が必要な人
- 不動産の査定書と鑑定書の違いを知りたい人
- できれば無料で不動産査定書がを入手したい人
もくじ
1.不動産査定における「査定書」と「鑑定評価書」の違い
不動産査定とは、その不動産の価値が現在の市場においてどれくらいなのか、また、売りに出した場合、いくらぐらいで売れそうかという不動産の価値や評価をまとめたものです。
一般的には、物件の立地条件や広さ、建物の状態、周辺の不動産の取引状況などを踏まえたうえで、査定額が導き出されます。その結果をまとめたものが、不動産査定書です。
不動産査定書は大きく分けると、不動産鑑定士による不動産鑑定評価書と不動産会社による不動産査定書の2つがあります。
まず、鑑定評価書と査定書との違いを確認しましょう。
1-1.【有料】不動産鑑定士による不動産鑑定評価書
不動産鑑定は、不動産鑑定士の独占業務です。法律上、不動産鑑定士でなければ、不動産の価値を鑑定して報酬を受け取ることができません。
不動産鑑定士は、「不動産の鑑定評価に関する法律(不動産鑑定法)」に基づいて不動産の調査や分析をし、客観的で適正な不動産の市場価格を算出して不動産鑑定評価書を作成します。
そのため、鑑定をした不動産鑑定士が署名・捺印をして作成した不動産鑑定書は、その鑑定書が公的証明能力を有していると保証されるのです。
費用や時間もそれなりにかかりますが、立証資料として裁判所などにも提出することができます。
鑑定の費用は不動産の規模や鑑定の目的によって大きく異なりますが、一般的に数十万円かかることが多く、作成期間も2週間程度必要です。
1-2.【無料】不動産会社による不動産査定書
不動産査定書を無料で入手する方法として、一般的なのは不動産会社に査定を依頼するというものです。
不動産会社に査定を依頼すると「不動産査定書」を作ってもらえます。不動産会社が売主に査定価格を述べるときには、その根拠を明らかにしなければならないことが宅地建物取引業法により義務付けられているです。
しかし、不動産会社が作成する不動産査定書には書式や内容などの法的な取り決めなどがなく、関係者以外の第三者に対する法的な効力はありません。
そのため、税務署や裁判所などに提出できる正式なものではなく、あくまでも売りに出した場合、これくらいの値段で売れそうだという内容が記載されているだけです。
不動産会社によって違いますが、おおむね数日〜1週間以内程度で査定書を作成してくれます。
1-2-1.不動産会社の査定書はなぜ無料なのか?
先にも述べたように、不動産鑑定は不動産鑑定士の独占業務です。そのため、不動産鑑定業者の登録を受けず、他人の求めに応じて報酬を得て不動産の価格や賃料を査定することを仕事として行うことは不動産鑑定法違反となり、罰則が課せられます。
一般的な不動産会社は、宅地建物取引業者の免許はあっても不動産鑑定業者の登録はありません。よって、不動産会社が作成する査定書は無料にしなければならないのです。(日本不動産鑑定士協会連合会HP参照)
第2条 この法律において「不動産の鑑定評価」とは、不動産(土地若しくは建物又はこれらに関する所有権以外の権利をいう。以下同じ。)の経済価値を判定し、その結果を価額に表示することをいう。
2 この法律において「不動産鑑定業」とは、自ら行うと他人を使用して行うとを問わず、他人の求めに応じ報酬を得て、不動産の鑑定評価を業として行うことをいう。
第33条 不動産鑑定業者の登録を受けない者は、不動産鑑定業を営んではならない。
2.不動産会社の査定書をもらう際の注意点
ここでは、不動産会社に査定書を作成してもらう際、どのようなことに注意すべきかを説明します。
2-1.原則として売却が前提となる
不動産会社は、売却することを前提として査定書を作成します。したがって、まったく売却するつもりがないのであれば、査定を依頼しないほうが良いでしょう。
不動産会社のおもな収益は、売買を成功させた際に売主や買主から受け取ることができる仲介手数料です。査定書の作成にかかる費用は、この仲介手数料に含まれています。
言い換えれば、売買を成約させて仲介手数料を得るために、無料で査定書を作成してくれるのです。
売却予定がまったくないにもかかわらず査定書が必要な場合は、不動産会社ではなく不動産鑑定士に依頼しましょう。
2-2.机上査定ではなく訪問査定をしてもらう
不動産会社の査定には、机上査定と訪問査定の2種類があります。査定書を作成してもらいたい場合は、訪問査定をしてもらいましょう。
机上査定とは、あなたのお家の中を見ずに、不動産の情報(面積や築年数、設備など)だけでおおよその査定を行う方法です。一方、訪問査定は、不動産会社の担当者が実際にやって来て、物件そのものや周辺の様子などをチェックして査定します。
売却する予定が特にないけれども査定額だけ知っておきたいといった場合は、机上査定がおすすめです。
しかし、家は、土地の形状、接する道路との関係、高低差、建物の外壁の劣化状況や、傾きなどによって価格が大きく変わるため、現地で詳しい確認をしないと査定の信頼性はかなり低くなります。
そのため、精度の高い査定書が必要な場合は、訪問査定が必要です。
詳しくは「机上査定とは?不動産会社に机上査定してもらっても意味がない理由について」で説明していますので、ぜひ読んでみてください。
ただし、投資用などで賃貸中の物件は家の中に入って査定することがむずかしいため、机上査定のみで査定書を作成してもらうことになります。
2-3.複数の不動産会社に訪問査定してもらう
不動産会社に査定を依頼する際は、複数の会社に査定してもらうことをおすすめします。
なぜなら、不動産会社や担当者によって査定内容にバラつきが生じることがあるからです。できれば3〜4社の査定を受けて、査定書をつくってもらいましょう。
ただし、不動産会社の担当者が訪問してくるので、在宅して対応をしなければなりません。
詳しくは「訪問査定とは?訪問査定で不動産売却の成功が決まる理由について」で説明していますので、ぜひ読んでみてください。
3.離婚の財産分与や相続で査定書が必要な場合
単純に、家やマンション、土地などの不動産を売却するためだけでなく、離婚で不動産の財産分与をする際や相続で財産評価する場合にも、不動産査定書が必要になる場合があります。
このような場合における査定書の必要性について確認しておきましょう。
3-1.できれば不動産鑑定士に査定を依頼する
婚姻中に購入したマンションや家などの不動産がある場合は、離婚をする際の財産分与の対象になるため、正確な不動産査定書が必要になります。
なぜなら、おおよその不動産査定額で財産分与をしてしまうと、どちらかが損をしてしまったり、贈与税が発生した際の計算が違ってきたりする恐れがあるからです。
財産分与後のトラブルを避けるためにも、費用はかかりますが、できれば不動産鑑定士に依頼して正確な鑑定書を作成してもらうことが理想的だと言えます。
3-2.売却する可能性があるなら不動産会社の無料査定
という人もいますが、離婚や相続の場合、売りたくないのに売らざるを得ない、というケースがあります。
例えば、次のような場合です。
- 離婚で妻側が住み続けたいと考えていたが、住宅ローンの名義は夫で、妻の名義に変更することができなかった
- 相続で家をもらいたいと考えていたが、兄弟で分けられないため現金化して分けることになった
離婚や相続での話し合いの結果、このように売却せざるを得ないケースもよくあります。
売却する可能性がゼロでなければ、不動産会社に査定を依頼して、無料の不動産査定書を作成してもらうと良いでしょう。
ただし、不動産会社もまったくの無料で査定書を作ってくれるわけではありません。
売却する可能性があるからこそ、無料でも真剣に査定してくれるのです。
もし、本当に売却予定がなく、不動産査定書が必要なだけであれば、不動産鑑定士の査定を受けましょう。
まとめ
不動産鑑定士による不動産鑑定評価書と不動産会社による査定書の違いとまとめると、次のようになります。
費用 | 訪問査定からの作成期間 | 特徴 | |
不動産鑑定士の査定 | 数十万円 | 2週間以上 | 証明効力がある |
不動産会社の査定 | 無料 | 1週間以内 | 売却することが前提 |
費用はかかりますが、不動産鑑定士に査定を依頼するメリットは、公的な証明として使える効力のある正確な不動産鑑定書を作成してもらえる点です。
相続や権利関係の協議や訴訟などの証拠資料として、裁判所や税務署に提出が必要な場合は、不動産鑑定士に依頼することをおすすめします。
ただし、先述した通り、不動産鑑定士に依頼するとかなりの時間と費用がかかります。
このようなことにならないためにも、依頼する前におおよその費用を確認しておくことをおすすめします。
不動産会社に査定書を依頼する場合は、できれば訪問査定せずに作成して欲しいと思うことでしょう。
ただ、車種や年式、走行距離で価格が出せる車の査定と違い、お家は世界に1つしかない商品です。
さらに、少しでも条件が変われば数百万円査定額が変わってしまうため、当初描いていたライフプランが大きく変わってしまう可能性も決して少なくありません。
また、不動産会社の訪問査定を受けて査定書を作ってもらう場合、
と思うでしょう。
どの不動産会社に査定を依頼すれば良いかわからないという方は、ぜひ「イクラ不動産」にご相談ください。
無料&秘密厳守であなたの状況にピッタリ合った、売却実績が豊富な不動産会社を選べます。また、簡単に素早くお家の査定価格を知ることができるだけでなく、売却でわからないことがあれば宅建士の資格を持った専門スタッフにいつでも相談できるので安心です。
イクラ不動産については、「イクラ不動産とは」でくわしく説明していますので、ぜひ読んでみてください。
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